全国出版協会が2017年のコミック市場規模を発表しました。
紙のコミックが大きく減少し、電子書籍のコミックが大きく伸びました。
紙の減少を電子書籍がカバーできず、コミック全体としては2.8%の減少となりました。
それでもコミック市場の前途は明るいと考えています。
2017年コミック市場のポイント
全国出版協会の発表内容は以下です。
(上記サイトのタイトルがミスってるようで2016年となっていますが、2017年の統計です)
ポイントをいくつか列挙します。
(画像は上記リンクの全国出版協会から引用)
- 紙の単行本コミックスは昨年比14.4%減の1,666億円
- 電子の単行本コミックスは昨年比17.2%増の1,711億円
- 紙の単行本を電子が上回る
- コミック誌も含めたコミック市場全体は4,330億円
- 紙のコミック誌の落ち込みは約1割減
- コミック市場全体はここ数年は横ばいだったけど、昨年比2.8%減で目に見える減少となった
結論的に言うとこうなります。
- コミック単行本については、紙の落ち込みを電子書籍がほぼカバーしている。(紙から電子に移っただけ)
- コミック誌については、紙の落ち込みを電子書籍がカバーしていない。
- 結果として、コミック市場全体は2.8%減少
コミック単行本市場は、電子書籍の普及スピードがずば抜けて速いです。とうとう電子書籍が紙を上回りました。この傾向がいつまで続くのか注目です。
コミック市場のマイナス要因
コミック市場全体で2.8%減はけっこう痛いところです。
ここ数年はずっと横ばいだったんですが、約3%減は「あれっ?とうとう市場縮小がはじまった?」と心配になります。
コミック市場のマイナス要因を考えてみました。
- 若年層人口の減少
- 娯楽の多様化(SNS、スマホゲーム、動画等)
- コンテンツ無料化(ネットの無料コンテンツ多すぎ)
- 電子書籍コミックも無料タイトル多すぎ
- 海賊版サイトの悪影響?
- 将来不安からの節約意識で消費減
若年層人口の減少が大きいはず。
むしろ、ほぼ横ばいで推移してきたのは、かなりコミック業界が頑張っているといえます。
コミックが日本の文化と言えるほど支持されていなければ、もっと激しい落ち込みだったはずです。
しかし将来は明るい!コミック市場のプラス要因
将来的に、まだまだコミック市場には可能性があります。
このまま減少傾向が続くとは、とても思えません。
- 大人も漫画を読む時代(若年人口が減ってもコミック人口はそれほど減らない)
- 経済力のある大人はコミックを大人買いする
- クリック一つで電子書籍コミックを購入できるので衝動買い・まとめ買いが増える
- 海外市場に進出できる。(海外でも漫画ファンが増えている)
大人の読者層を開拓したり、海外を開拓したり、打つ手がたくさんありそうです。
40代以上をターゲットにした漫画がもっと出てきてほしい。
コミック市場はまだまだ可能性に満ちた業界です。
市場規模の比較
最後に、トリビア(雑学)として、いくつかの市場規模を比較してみます。
市場規模の数字は、以下のサイトを参考にさせていただきました。
日本国内市場の市場規模です。(比較しやすいように数字の端数切捨てたり四捨五入してます。ざっくり比較ということで)
- 音楽有料配信 500億円
- 打ち上げ花火 500億円
- マヨネーズ 1000億円
- アイドル 1500億円
- 映画 2000億円
- ダンス教室 2000臆円
- アニメーション 2500億円
- 音楽市場(ソフト) 2500億円
- カラオケボックス 4000億円
- コミック 4000億円
- メガネ小売り 4000億円
- 豆腐 5000億円
- 宝くじ 5000億円
- アウトレットモール 6000億円
- ネットオークション 9000億円
- 理美容 2兆円
- モバイルコンテンツ関連全体 4兆円
- 通販市場 6兆円
- 風俗産業 6兆円
- 介護市場 9兆円
- 生命保険 40兆円
- 医療 40兆円
- 自動車関連 60兆円
豆腐市場は昔から5000億円と安定していて、他の業界とよく比較されます。
コミック市場は1990年代は豆腐を超えていましたが、豆腐を下回ってしまいました。再び豆腐を超える時代はくるでしょうか。