ここ数年、文庫本の市場が急激に縮小しているそうです。
電子書籍の影響が大きいと考えられています。
既刊書籍を小型にして安く販売する文庫本は、ずっと出版文化の一角を支えてきました。今、激変が起きています。
文庫本市場は3年連続6%以上の減少
「2017年版 出版指標年表」によると、昨年の文庫本の推定販売金額は1,069億円だったそうです。3年連続の6%台の減少。
推定販売部数は、3年連続7%台の減少です。
上記のグラフは、「2017年版 出版指標年表」から。
2012年までは、減少傾向ながらも、ずっと横ばいで推移してきました。
2014年から急激な減少となっています。文庫本市場に激変が起きています。
電子書籍への移行で競合が増える
「2017年版 出版指標年表」では、文庫本が急激に減少している理由として、読者層が若いことが挙げられています。
若年人口の減少し、その若年者はSNSなどのネットが娯楽になっています。
それに加えて、以下のように指摘しています。
廉価で、携帯性に優れ、保存に場所を取らないと言われてきた文庫本の長所は、電子書籍にもそのまま共通する点だ。
文庫本の愛読者にとっては、文庫本が好きな理由がそのまま電子書籍を選ぶ理由となります。
そして、電子書籍に移行すると、今度は、ネットコンテンツ(SNS・動画等)との競合がはじまります。
今後も、文庫本市場は縮小を続けると考えられます。
図書館がコンテンツ無料化を推進
最近、文芸春秋の社長が「図書館で文庫本を貸さないで」との声明を出して話題になりました。
文庫は出版社の収益を支える部門だといいます。既刊本をリサイクルできるので利幅が大きい。
その文庫が売れなくなるのは、出版社にとって打撃になります。
図書館で文庫を貸し出していることが売上減に影響している、と主張しています。
たしかに私自身、図書館の蔵書をネット検索・予約できるようになって、本を買う機会は激減しました。
文庫に限ったことではなく、図書館が便利になりすぎて「本は無料」の認識が広まってしまったわけです。
ネット検索・ネット予約という利便性が、図書館利用の拡大と出版不況の原因かも知れません。
しかし、図書館に「貸さないで」とお願いしたところで、時代は逆戻りしないです。
出版業界のピンチをチャンスに変えないかぎり、出版不況は終わりそうにありません。
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