「電子書籍は返品できるのか?」という疑問があります。
電子書籍を購入したけど、何らかの理由でなかったことにしたい・・・というケースです。
デジタルデータで返品を認めてしまったら、誰もお金を払わずに内容が見放題になってしまいます。事業が成り立ちません。
そのため、電子書籍の返品はできません。
しかし、AmazonのKindleストアだけ、例外的に返品対応をしています。
そのあたりのことを解説します。
多くの電子書籍ストアで返品を認めていない
具体的に、電子書籍ストアの返品対応について見てみます。
楽天kobo
楽天koboのヘルプでは以下のように明記されています。
Q:
購入した電子書籍タイトルを変更したい。
購入した電子書籍を交換したい。A:
ご購入いただいた本(電子書籍コンテンツ)・電子書籍の変更・返金などは、一切おこなっておりませんので、ご了承ください。
電子書籍コンテンツの交換・変更・返金はいっさいおこなっていないようです。
Yahoo!ブックストア
Yahoo!ブックストアについては、ヤフーヘルプで以下のように明記されています。
購入間違いや、推奨環境外での購入などお客様都合による返金はできません。「買い切りかレンタルか」「対応デバイスは合っているか」など購入前によくご確認ください。
「お客様都合による返金はできません」とあります。
たとえ、対応デバイスが合っていなくて読めなくても、いっさい返金できません。ご自身の環境で読めるのかどうか、購入前に無料の電子書籍等で確認してください。
honto
hontoのヘルプでは以下のように明記されています。
電子書籍のキャンセル・返品はできますか?
商品の性質上、電子書籍のキャンセル・返品は承っておりません。
商品の性質上というのは、コンテンツかつデジタルデータということだと思います。
通常の物品であれば、未開封の商品であれば返品を受け付けることができます。しかし、コンテンツで返品を認めてしまったら市場が成り立ちません。
ちなみに、hontoでは紙の本も買えますが、商品出荷後の返品はできません。
商品出荷後は、お客様のご都合によるキャンセル・返品・交換は承っておりません。
紙の本であっても、読んでから返品されたらたまりません。ということで、出荷後は「お客様都合による」返品はできません。
別の商品が届いたといったケースで、ストアに非がある場合のみ可能です。
ということで、上記3ストアを例にしましたが、どの電子書籍ストアを調べても「返品できない」という点は同じはずです。
ただし、Kindleストアは例外です。
Kindleストアはなぜ返品対応をしているのか
AmazonのKindleストアは、他の電子書籍ストアとは違った返品対応をしています。
以下、Kindleストアヘルプの「Kindle本を返品する」項目です。
Kindleストアでご購入いただいたKindle本については、購入間違いなどの場合、注文日から7日以内に限りAmazonの裁量にて返金を承っております。返金をご希望の場合は、カスタマーサービスにご連絡ください。
なんと、Kindleストアでは7日以内に限り、Amazonの裁量で返金を承っているそうです。
Amazonの裁量ということは、返品を認めるかどうかについてAmazonが判断することになります。
なぜ、他のストアのように「返品できません」とせず、わざわざ「裁量にて返金を承っております」としているのでしょうか。
これはKDPが関係していると想像できます。
個人出版システムのKDPでは、どんな人がどんな電子書籍を出版したのか把握しきれません。
そのため不適切な電子書籍がないとは言い切れません。
とりわけ、有名書籍の錯誤を狙っている詐欺本のケースが考えられます。
たとえば、「九十歳。何がめでたい」というベストセラーがありますが、そのタイトルに似せて、「九十歳。何かめでたい」と一文字だけ変えて出した電子書籍があったとします。(しかも似たような表紙)
こういう詐欺まがいの電子書籍があると、間違えて買ってしまう人がいます。
Kindleストアが返品を認める理由はここにあると推測されます。
上記で引用したKindleストアの文章で「購入間違いなどの場合」とあるのは、そのことだと思います。
購入者のわがままで返品申請しても認められないと思いますので、そこは注意したいところです。
1クリック購入にそなえたキャンセル
もう1つ。Kindleストアが返品を認めるのは、購入直後です。
ご注文確定直後であれば「注文をキャンセル」リンクが表示されます。このリンクをクリックすると、ご注文はキャンセルされ、自動的に返金処理が行われます。
Amazonはクリック1つですぐに購入できます。購入確認画面をスキップして、スピーディーに購入できるわけです。
そのため、間違えて購入ボタンを押してしまうケースがあります。
そういうときは、次の画面でキャンセルできます。
上記画像が1クリックでKindle本をポチッた後の画面です。
赤い矢印の「注文をキャンセル」ボタンを押すと、キャンセルできます。
手が滑って、間違ってポチっても大丈夫です。
返品対応からみるAmazonの凄さ
結局のところ、Amazonが革新的なサービスを提供しているからこそ、返品対応を認めざるをえないわけです。
- KDPという革新的な個人出版システム
- 1クリック購入という革新的な決済システム
革新的なサービスだからこそ、ユーザーを守るために返金を認める余地が出てくる。
新しいことをやらなければ、「返品はいっさい認めません」と明記するだけで済みます。
Amazonは、本の中身を確認できる「なか見!検索」にしても、購入した商品ページでの「すでに購入済」の注意喚起にしても、他のストアに先駆けてリリースしています。
Amazonの返品対応は、革新性とユーザー重視の証です。
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