電子書籍の価格を決めるコツ

KDPで出版するときに、必ず迷うのが「価格設定」です。

電子書籍にいくらの値段をつければ良いのでしょうか。

価格設定の考え方、そして私なりのルールをご紹介します。

KDPの価格設定の範囲

まず、AmazonのKDPでは、好きな値段をつけられるわけではありません。

価格設定の範囲が決められています。

最小価格 最高価格
ロイヤリティ35% 99円 20,000円
ロイヤリティ70% 250円 1,250円

下記のリンクで、「希望小売価格の要件」が明記されています。

希望小売価格の要件

35%のロイヤリティでは、最安値の99円から2万円まで幅広い価格設定が可能です。

KDPセレクトに登録して70%のロイヤリティを獲得する場合は、価格設定の幅が狭くなります。

KDPの相場

次に、KDP本の相場はどのくらいでしょうか。

出版流通に乗っている本は、電子書籍のKindle本であっても安くありません。紙の本より10%~30%安い程度です。

そのため、千円以上の電子書籍がいくらでもあります。

しかし、無名の著者がKDPからリリースした個人出版の本は、まったく話が変わります。

ほとんどのKDP本は500円以下です。うっかり500円以上の価格をつけたところで、まったく売れないはずです。(有名な著者は別です)

おそらくKDP本のほとんどが、「99円または250円の最小価格」に近い価格をつけています。

これは米国でも同じ状況だと読んだことがあります。

個人的な相場観

KDPの本(Kindleの個人出版本)を買うときに、一読者としての私は、以下のような相場観があります。

  • 500円のKDP本:著名ブログに取り上げられたり、ネットで話題になっていれば買う。
  • 300円のKDP本:この本を読むメリットが明確なら買う。
  • 100円のKDP本:タイトルと説明文で衝動買いすることがある。釣られることがある(笑。

今までの経験で、こんな感じです。

これを出版する側からみると以下になります。

  • 500円の価格設定:話題になる自信がある。
  • 300円の価格設定:読者ターゲットに明確なメリットを伝える。
  • 100円の価格設定:衝動買いを誘う。

実際には、ほとんどの本は70%のロイヤリティを目指して、250円以上の価格をつけています。

KDPで出版するときのマイルールとして、以下の3つの価格設定があります。

  • 450円~500円で出す本:ビジネス・投資などお金に関わるテーマで自信作。
  • 250円~300円で出す本:ほとんどがここ。KDPセレクトの最小価格付近。
  • 99円で出す本:KDPセレクトに登録しない(できない)本は99円の一択。

公開しているブログ記事をまとめて電子書籍にした場合は、KDPセレクトに登録できないので、99円で売っています。(70%のロイヤリティで売るためには、KDPセレクトへの登録が必須なので)

ブログ記事をまとめた電子書籍はKDPセレクトに登録できない
電子書籍を出版するならブログ記事をまとめるのが一番簡単です。 しかし、AmazonのKDPで出版する場合、KDPセレクトに登録できません。 70%のロイヤリティが手に入らないのが痛いところです。 (最後に追記があります。ブログ記事を再編集し...

KDPの価格設定での鉄壁マイルールは、500円を超える価格で出さないこと。なぜなら、私自身が500円以上の無名著者のKDP本は絶対に買わないから

結果として、ほとんどの本に250円~300円の価格をつけています。

読み放題を前提にするなら最小価格

Amazonの読み放題サービス Kindle Unlimited との兼ね合いをどう考えたらよいでしょうか。

読み放題の加入者は、月額費用さえ払えば、対象となる本を無料で読めることになります。

KDPセレクトに登録して、「読み放題」加入者に読まれることを前提にすると、本の価格はなおさら安く設定する必要があります。

本の価格が高いと、無料で読める本をあえて買う人がいなくなるからです。

価格が安いからからこそ、「繰り返し読みたいから、買っておこう」との決断を引き出せるからです。どうせ安いなら、読み放題で借りたり返したりの手続きが面倒になり、常時読めるようにしたくなります。

ですから、読み放題の加入者が今以上に増えて、それらの読者に買ってもらうことを目指すなら、70%ロイヤリティの最小価格である250円一択になりそうです。

なぜ本の価格はみんな一緒なのか

出版流通の本も、価格はそれぞれ似ています。文庫本は500円、新書は800円、ハードカバーは1500円程度。

ジャンルによっても相場は変わってきますが、どの本も似た価格がついています。

なぜでしょうか。

相場を外して、価格を安くしてみたところで、それほど売れないからです

50円であっても読みたくない本は買わない。図書館に行けば無料でも、読みたくない本は読まない。本はそういうモノなので、安ければ売れるわけではありません。

逆に、相場を超えて高い価格がついた本は、やはり敬遠されて売れません。なぜなら価格が高いからといって、本の品質を示すことにならないからです。

牛肉であれば、高いものほど美味しい(可能性が高い)と判断できます。だから、「高級品で高価格の市場」が成立します。

しかし、本には、「高級品で高価格の市場」がありません。「価格が高いから内容に価値がある」とは誰も考えていないからです。1万円の小説あったとしても、500円の文庫本小説より面白いわけではない。

そのため、本に高い価格をつければ、読者が離れるだけです。

結果として、本は似たような価格設定になり、あくまで相場の価格をつけるのが基本となります

電子書籍の価格をつけるときは、類書の価格設定を調べて、相場の範囲で値段をつけることになりそうです。

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